ロイヤルホストをでて、彼は「今日は帰る」と
言い始めた。
「あなたに、悪いことを言ってしまったから・・」
「少しまって。5分たったら電話して。そのとき決めよう」
どうして、あのときそのまま別れなかったのだろう。
もっと怒らなかったのだろう。
少なくとも、まだ、彼を信じていたのだと思う。
そして何より、離れるのが怖かった。
「もしもし・・」
「とにかくうちに来て・・」
靴音がドアの前で止まり、チャイムがなった。
その晩、私は泣きながら彼の腕の中で朝まで
過ごした。
「おこってごめんね」
彼を責めるより、自分が何かとても悪いことをした
気持ちだった。